現状維持を望む人が改革の邪魔をする。どうにかしたい。
という悩みにお答えします。
職場を改革しようとすると『今困っていないから』と現状維持を望む人(だいたい偉い人)が出てきます。
20代の頃は先輩社員が言うからという理由で引き下がっていたけれど、30-40代になってよく考えてみたら『やっぱりおかしい』と思うことはないでしょうか?
現状維持バイアスが掛かっている人はどこにでもいます。
あなたが組織を変えたいならば、このような現状維持バイアスが掛かっている人を動かさなければなりません。
本記事では、
気弱サラリーマンが現状維持バイアス対策としてどのような行動をすれば良いか
を体験談の形でお伝えします。
本記事を書くために参考にした本を紹介します。戦略のマニュアルです。
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現状維持バイアスとは?
現状維持バイアスとは、人が無意識のうちに持っている現状を維持しようとする性質の事です。
現状維持バイアスには以下の背景があります。
(1) 人は変化を嫌う
人は変化を嫌います。未知の事象や大きな変化に遭遇した時に、無意識にそれら避けて現状を維持したくなる心理が働きます。
(2) 人は利益より損失を気にする
利益と損失が同じ場合、人は利益から得る満足度より損失から得る苦痛の方が大きいと判断します。
変化によって「何かを得られるかも」という期待より「何かを失うかも」という不安の方が大きいのです。このような損失回避性の心理が働きます。
(3) 保身
変化にはメリットとデメリットがあります。デメリットは「問題が発生するかもしれない」というリスクです。
自分が変化を選択した場合、もしリスクが顕在化して実際に問題が発生すると、変化を選択した自分が批判にさらされます。この批判を避けたいという保身の心理が働きます。
(4) 何もしないのは楽
現状維持を選択しておけばリスクを負う必要も労力を費やす必要もありません。何もしない事は楽なのです。
これまでに出会った人の中でこのそれぞれまたは複数に該当する人が恐らくいるのではないでしょうか?
私はそれぞれ一人ずつぴったり当てはまる人を連想しながら書いていますw
では現状維持バイアスにはどのように対処すれば良いでしょうか?
現状維持バイアスは誰もに当てはまる作用です。現状維持バイアスが作用する事を知り、合理的な選択をする事が大切です。
現状維持バイアスへ私が対策した事例を次項からお伝えします。
気弱サラリーマンの現状維持バイアス対策(1):具体的に説得する
- 私の主張に対して相手が拒否してきた
- 相手には現状維持バイアスが掛かっており、拒否という判断は合理的ではないと私が考えている
という場合、私は相手を具体的に説得します。
現状維持バイアスが掛かっている相手に対して
- こんなメリットとデメリットがある
- あなたはデメリットに固執しているが、メリットの方が大きい
という形で自分の意見を具体的に説明します。説得をしないで次の行動をするのは卑怯ですからね。
しかし、説得してもどうしても分かり合えない時があります。主に業務上の立場からこのような事態になる事が多いです。
それぞれ自部門を最適化しようとしますから、対立は仕方ない事が多いです。
説得してもなかなか分かり合えない場合、私は説得の最後に『そんなこと言ってたらいつまでも改善なんて出来ませんよ』と少し挑戦的に言う事にしています。そして相手の反応を見ます。
業務上の立場 が原因である場合、相手から やっても良いと思っているけど立場がそれを許さない というコメントを得られる場合があります。
これを突破口として協力してWin-Winの関係を作る事が出来るかもしれません。
現状維持バイアスが作用する事を知り、合理的な選択をする事が大切です。
説得が失敗した場合は次の行動を起こします。
気弱サラリーマンの現状維持バイアス対策(2):強行する
説得が失敗した相手に対して「意見を却下します」と通告して強行します。
あなたが決定権を持っている場合に選択できるOptionです。
ただし「あなたの意見が正しいと確信している事」と「相手のコアメンバーの一部から同意を得ている事」が必要です。独りよがりは成功しませんから。
例えば、社内サービスを提供する部門が「古いサービスを停止したい」という交渉をユーザの部門と行う場合を考えます。
新しいサービスを提供する時にはユーザが反対する事はあまりありません。しかし古いサービスを停止する時には必ず反対するユーザがいます。
社内サービスを提供する部門としては、メンテナンスコスト削減のために古いサービスを停止する必要があります。
ユーザ部門は複数あります。全ユーザから了承を得る事は不可能です。
そこで、「○月○日を持ってこのサービスは停止します」というアナウンスを出して、サービス停止を強行します。
ただし「コアユーザの一部から同意を得ている事」が必要です。
現状維持バイアスが作用する事を知り、合理的な選択をする事が大切です。
強行する以外の手段が適切な場合もあります。
気弱サラリーマンの現状維持バイアス対策(3):諦める
変化を起こす事を諦めて引き下がります。
メリットとデメリットを考えて合理的に判断をします。
例えば、マンションの管理組合のルール変更について考えます。
マンションの管理組合でルール変更について議題に上がった事があります。
議題は「役員の任期を設定するかどうか」でした。今は無期限だが役員が固定化すると方向性が偏るからという理由でした。
正直どちらでも良いのですが、自分で情報収集したところ一般的に組織の役員は固定化しない方が良いという情報を得たので、私は本議題に賛成しました。
ところが、一部の役員(70代の年配者)が「何が問題なのかが私には分からない。問題が何かの議論が尽くされるまでは変更すべきではない」と主張しました。
これはダメだ
と思いました。
一般的にまともな意見に対しても「俺には分からん」という理由で拒絶するような人とは一緒に仕事は出来ません。そもそもボランティアですし。
『議論を尽くすのは不可能ですよ。この程度の事も出来なかったら何も改善できませんよ。』と言って、この議論に参加するのをやめました。
本議題はどちらを選んでも悪い結果にはなりません。これ以上時間を費やす価値が無いと判断しました。
諦める事が私にとって都合が良いケースでした。
現状維持バイアスが作用する事を知り、合理的な選択をする事が大切です。
『ガンガン行こうぜ』もやりすぎは良くない
現状維持バイアスとは戦う必要がありますが、何事もやりすぎは良くありません。
検討が不十分にも関わらず現状維持バイアスを盾にとって『ガンガン行こうぜ!』という選択をするのも良くないです。
実は私は自分の事を客観的に見てどちらかというと保守的な考え方であると考えています。
例えば、
- 新しい技術を採用する事は慎重です。枯れて安定した技術を採用する目利きが大切と考えています。
- ビジネスを拡大する前に今の顧客の満足度を上げる活動を優先したいです。
- 全く情報のない新しいレストランに行くよりは、友人から薦められたまだ行ったことのないレストランに行きたいです。
私に対して、検討が不十分にも関わらず現状維持バイアスを盾にとって「どんどんやろうよ!」と要求してくる人がいたら、
『私には現状維持バイアスが掛かっているかもしれない。でも今は検討不足ではないか?』と返します。
それでも強行して要求してくる人がいる場合は『ではあなたの部門の予算をください。そうしたらうちで人を雇って行動します。』と言うのが良いです。
必要なら予算をくれますし、必要でなければ引き下がります。
変更する/しないのどちらの場合でも、現状維持バイアスが作用する事を知り、合理的な選択をする事が大切です。
【気弱サラリーマンの現状維持バイアス対策】説得する強行する諦める辞める まとめ
- まずは説得する
- 強行するか諦めるかの判断をする
- 現状維持バイアスを盾にとって不当な要求をする人には断固として戦う
『説得する強行する諦める』がうまくいかなかった場合はあなたが職場を辞めるタイミングかもしれません。